美食の街として知られる、フランス・パリ。
中でも、パリに訪れたならぜひ食すべき!とされる食材のひとつが「牡蠣」
今も当たり前のようにパリで牡蠣が食べられるのは、日本とは切ってもきれない”縁”があるのだとか。
実はワタシ、もともと生牡蠣が苦手なタイプ・・・、そんなワタシですが、パリですっかり生牡蠣にハマってしまいました。
勧められて仕方なく食べたのに、「なんでこんなに美味しいの!?」とびっくり仰天。
お腹だって壊しませんでしたよ。
パリの牡蠣の美味しさの秘密&日本とパリの深〜い深〜い縁について、ご紹介します。
味わい・美しさともに一級品【フィーヌ・ド・クレール】
どうですか、この色あざやかな緑色!
写真に写っているのは「クレールオイスター」と呼ばれる牡蠣。
クレールオイスターは、緑色が強いほど品質がいいとされています。
仕入れ状況によって提供してもらえる牡蠣の種類・産地は異なりますが、パリで人気なお店では特に、お客さんに喜んでもらえる牡蠣を目利きして仕入れるのも腕の見せ所なのだと言います。
牡蠣の仕入れから、牡蠣の殻を剝いて盛り付けるまでの一連の仕事を担うのが、【エカイエ】という職人さんです。
クレールオイスターの身がエメラルドグリーンに輝く姿はとっても綺麗。
こちら、シャルルドゴール空港内の【Caviar House & Prunier Seafood Bar:キャビア ハウス&プルニエ シーフードバー】で出していただいたもの。
ロンドンへ向かうために空港を訪れた際に、出国手続きの保安検査を済ませた場所にデデンと現れた素敵なお店に、思わずウキウキと立ち寄ったのです。
そう、まさかのフランス”出国”のタイミングでクレールオイスターに出会うことに。
このお店に立ち寄ったものの、ワタシは生牡蠣があまり得意ではない、というかちょっとビビっていたので、スモークサーモンやキャビア(ちょっとだけ)など、記念にいただこうかなぁと思って寄ったのですが・・・まさか、どハマりして人生が変わります。
※このお店ですっかりハマり、ロンドンに移動した後も再びオイスターバーに立ち寄ることになるとは、この時のワタシはまだ知らない。
ちなみにこちらのお店は名前の通りキャビアはもちろん、牡蠣やロブスター、海老や蟹も食べることができます。空港とは思えない、ラグジュアリーなカウンター!
さて、気になるそのお味とは、一体どうしたらこんなに色あざやかな牡蠣が生まれるのでしょうか・・・
パリのクレールオイスター、日本で食べ慣れた牡蠣とはまるで違う
自然の恵みが生み出した色だと考えると、感激の一言。
勧められて食べたこの【クレールオイスター】、気になるその味は・・・「最高!もう、最高の最高の最高!!!」
ジブンでもびっくりです、生牡蠣をこんなにも美味しい、美味しいと食べてしまったことが。
それに対してこの【クレールオイスター】は、シンプルに言うと「旨味のある塩味を楽しむ嗜好品」
肉厚な肉質を楽しむと言うよりも、海の味をたっぷりと含んだジューシーさを楽しむイメージ。
濃厚な牡蠣っぽさと言うよりも、貝ひもと言いますか…ホヤのようと言いますか…みずみずしさとなんとも言えぬ磯の風味が口いっぱいに広がっていくんです。食べると言うよりも、海の風味を”すする”ような感覚。
海の味を堪能する
フランスで牡蠣などのシーフードを新鮮な生の状態でいただく場合のほとんどは、砕いた氷の上に綺麗に盛り付けられています。
牡蠣は、上側だけの殻を剥いてくれて、牡蠣が持っているエキスをこぼさぬようにして出してくれます。
オーダーが入ったらその場で剥いてくれるので、身が空気に触れることなく「海の味」をダイレクトに味わうことができるのです。
今までの牡蠣のイメージが一気に覆されて、すっかり虜になってしまいました。
白ワインと合わせると本当に最高です!
クレール牡蠣を産地で選ぶなら、マレンヌ・オレロン
一味違う「フォーヌ・ド・クレール:クレール オイスター」を味わいたいなら、このマレンヌオレロン産地の牡蠣がおすすめなんだとか。
この地域は、牡蠣の養殖大産地なのですが、その育成方法・熟成方法に美味しさと美しさの秘密があります。
実は、牡蠣の養殖は海だけにあらず。育成の最終段階で「クレール」と呼ばれる養殖池で熟成をすることで、あざやかなグリーンの牡蠣が生まれます。
これこそが、「フィーヌ・ド・クレール」の語源。
”クレール熟成”とは、塩田跡に作られた浅瀬の「海水池」に牡蠣を沈め、熟成最後の仕上げをすること。
マレンヌ・オレロンは、海水と淡水が混じり合う、いわば牡蠣漁師にとって”魔法をかける場所”。
池の中には、フネケイソウという藻が生きていて、この藻がもつ緑色が牡蠣の体を美しく色づけるというわけ。
帰国後に、この感激に近い牡蠣を探し求めてオイスターバーにも行ってみたのですが、これがなかなか難しく。
国内産の色々な産地の牡蠣を食べ比べ、塩水のジューシーな感じ&塩の風味が似てるかも?!と思ったのは、長崎の九十九島産の牡蠣。
クレールオイスターのような緑色では無いけれど、フォルムはかなり近く、肉厚でプリプリな牡蠣と違って水分量が多いのがとっても好みでした。
スマートなフォルムはパリのクレールオイスターと近しい感じ。
ちなみにこちらのオイスターバーは、東京駅にある【Gigas Seafood Bar:ギガス シーフード バル】
JR 東京駅・八重洲地下中央口改札が最寄り、【GRAN ROOF】にあります。
カウンターに並ぶ、産地ごとに仕入れた牡蠣の数々に気分も盛り上がりますね!
”1つあたりいくら”と値付けされているので、「九十九を1つとサロマ湖を2つ!」といったオーダーも可能ですよ。ここのカキフライがジューシーでまた美味しい、そして牡蠣のアヒージョも美味しい。
クレールオイスターは日本に無い?
なんと、日本でも、この「クレールオイスター」を養殖されている方がいらっしゃいます。
【FARM SUZUKI HIROSHIMA JAPAN】さん。心から、深く深く感謝・・・
フランス同様に、瀬戸内海の離島 大崎上島にある塩田跡に池を作るところから始められたと言います。
自ら土地をまず買い、クレールオイスターを熟成させるための場所をゼロからスタートさせたというのだから驚きです。フランス・パリでさえも、その手間から希少価値も上がる一級品を、日本国内で養殖しようという気持ちがかっこいい。
牡蠣のみならず、アサリや車海老など、大切に育てられた食材は、ネットでも注文ができます。
FARM SUZUKI さん オフィシャルホームページはこちら
フランスで親しまれている「マガキ」と「ヒラガキ」
フランスはヨーロッパ第一位の牡蠣生産国。年間、約14〜16万トンが生産されるのだとか。
フランスで親しまれている牡蠣は、主に、「マガキ」と「ヒラガキ」。
こちらがヒラガキ、平で小ぶりなのが特徴。
日本でよく見る牡蠣と違って、ベージュの色味ですね。
ヒラガキは、牡蠣の中でも”希少価値が高い品種”として知られ、なかでも大西洋に注ぐブロン川の下口付近で養殖されたヒラガキ「通称:ブロン」は超高級。
ブロンは1970年代に数が激減したことや、今では生産者が少ないことからも貴重な牡蠣。
「マガキ」は、日本でも馴染み深い牡蠣で、多くの人が「牡蠣」と聞いてイメージする、縦長の形をしている牡蠣。
日本のマガキへの”褒め言葉”といえば、メディアでもよく聞くような「ミルキー」だったり、「濃厚」だったり、身がたっぷりと詰まった”プルプル” 感・・・が高評価のような気がします。
日本でイメージする牡蠣(マガキ)を目指してフランスへ行くと、ちょっと面を喰らうかも!?
東日本大震災からの復興を救ってくれた、フランスと日本を繋ぐ「牡蠣の物語」
復興への絆は、およそ50年前に遡ります。
フランスでも主流となっている「マガキ」が広まるきっかけになったのは、フランスで牡蠣が病気になってしまう、危険な状況が訪れたことでした。
1960年代、フランスでは、「ヒラガキ」が激減してしまう危機が訪れます。
その苦節の時期を経て、1970に日本から病気に強い「マガキ」輸入さました。
これをきっかけに、マガキが主流になったというわけです。
フランスの牡蠣は、ほとんどが宮城県・石巻産のDNAを持って今に引き継がれていると言われています。
フランスの牡蠣養殖の歴史には、日本の牡蠣養殖技術が深い関わりを持っていたのですね。
時はたち、日本では2011年に東日本大震災が起こりました。
壊滅的な被害に見舞われた広い被災地、今でも胸の痛む思いですが、その被災した地域のひとつとして宮城県の牡蠣養殖エリアがありました。
津波によって、養殖区・種ガキは被害に遭い、養殖が困難な事態に陥ってしまいました。
そんな時、フランスが日本の牡蠣養殖を救うために手を差し伸べてくれたのです。
義援金や、養殖に必要な資金を支援してくれた牡蠣漁師やフランス政府の支えが、今まさに日本で楽しまれている牡蠣の命をつなぎとめてくれていたなんて。
およそ50年前、”日本人がフランスの牡蠣を助けてくれた、それと同じことしただけ”、そんなフランス政府・牡蠣養漁師のクールな評価は、日本とフランスの友好関係を教えてくれます。
心温まるエピソードが、まさか牡蠣から教えられるとは。
今ワタシたちが食べている牡蠣ひと粒ひと粒に、感謝を込めていただきたいなと思いました。
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